旧暦と新暦

1月31日、中国や台湾等では正月となりました。
これは旧暦での正月であり、
旧正月春節(読み:しゅんせつ)という別名もあります。
基本的に中国や台湾等でも
新暦により1年を数えていますけど
祝祭や行事的なものに関しては旧暦に合わせているらしくて
2月始めから1週間ほどは正月休みとのこと。

ならば新暦での正月は何をしているのかというと、特に何もありません。
日本が1月31日何もなかったのと同じだそうです。
以前の勤め先の中国出身の方曰く、
中国の正月では水餃子のようなものを召し上がるそうですよ。
日本は焼き餃子が一般的ですがあれは中国本来の餃子ではなく、
いわばジャパニーズ・ギョーザらしいです。
あくまで曰くの話ですから実際はどうか知りませんけどね。
旧暦はかつて日本や韓国等の地域でも一般的に使われていましたが
日本では1873年から新暦に切り替えました。





暦(読み:れき/こよみ)というものは日々を数える目安となるもの。
主に目安とされてきたものは、太陽と月です。
各国にてそれぞれ暦というものはありますけども
基本的には2種類に振り分けられまして、
旧暦は月の暦、新暦は太陽の暦に振り分けられます。

まず、太陽の暦では、地球が太陽の周りを移動する、
つまり公転(読み:こうてん)での一回り分を
(公転周期とも呼びますが)を1年365日としています。
円の周りは360度であり1年365日ですので
1日約1度の太陽の周りを移動している計算になります。
この1年365日という暦が考案されたのが
なんと何千年前の古代のエジプトなんですね。
当時は天動説が主流となっており
地球は平たく星や太陽が地球の周りを回っている
と考えるのが当たり前でした。
地球が丸かったり太陽の周りを移動するということなんて
考えもしないような時代です。
なぜ1年が365日と分かったのか不思議な話ですけど、
古代エジプトでは生活の基盤でもあったナイル川というのが
毎年洪水などを起こしていて頭を悩ましていたそうです。
ある時、洪水が起きる時期に
明け方に星が見えることに気が付き、この規則的なものを参考にして
洪水の時期を予測する為に作成されたのが
1年365日とした暦だそうです。
太陽にまつわることで今は太陽暦と呼ばれます。
ちなみに、その時に見えたのがシリウスと呼ばれている星です。
太陽と同じ恒星ですから、
またたくように見え宇宙のどこかで周りの惑星を照らしているのでしょう。
冬の大三角形の一角となる星ですので、
今のような寒い時期なら晴れた夜なら見ることができますよ。

一方、旧暦は月の満ち欠けというものを目安にしています。
月というのは三日月だったり満月だったり
いろいろ太陽の光の辺り具合で形をかえますけど、
その移ろいにより日々を数えるというもの。
移ろいが一回りした時を1ヶ月としており、日数は29~30日程。
これを12回繰り返し1年を355日程としています。
なぜ12回で1年としたのか分かりませんが
満ち欠けの周期を繰り返すうちに12回で同じ季節に戻ることに
当時の人たちが気が付いたからかもしれませんね。
ただ、月が地球の周りを移動するのが約27日ですから、
太陽暦のように月の満ち欠けと
月が地球を一回りする期間が同じという訳ではありませんので。

今でも月の形を見れば旧暦での日数が分かります。
かなりざっくりと説明しますと、
三日月は旧暦での3~4日となり
真逆の形だと旧暦の26日となり、これだけは名前も26の月です。
旧暦による1ヶ月の前後3日でもあります。
右半分が光る形は旧暦の7~9日であり上弦の月と呼ばれます。
反対に、左半分が光る形は旧暦での22~23日となり
下弦の月と呼ばれまして、ひとまとめに半月とも呼ばれます。
こちらは旧暦による1ヶ月の前後7日でもあります。
そして、満月は旧暦での15、16日、
旧暦による1ヶ月の折り返しでもあります。
たまに月を見た時に、形で今日は旧暦だと何日だな、
と換算するのもいいかもしれませんね。
この暦は陽性・陰性のような太陽暦の対義語として
太陰暦とも呼ばれています。

日本では日付を○月○日と表現していますが、
まるで暦にまつわる月と日(太陽)と表わしているようですね。
月日の由来が決してそうってわけではないでしょうけど、
意味深くは思えてきます。





現在は一般的な暦として扱われているのは新暦
新暦と旧暦での最大の相違点ともいえるのは、正確性です。

1年というものは、軸が少し傾いた地球が太陽の周りを移動することで
太陽の光の当たり具合が変わる事に伴い
気温だったり陽が昇る時間も変わり、季節というのが生まれます。
新暦では地球の動きそのものを基準をしているので
誤差は殆どなく4年に一度、1年366日の閏年を設ければ
季節と暦に大きな変化はありません。
一方、旧暦では1ヶ月29~30日程で1年は約355日。
地球が一回りする365日より毎年10日以上のずれが生じてしまいます。
仮に10年もすれば、暦では夏なのに
季節では春ということにもなりかねません。
その為、旧暦は閏月(読み:うるうげつ)と呼ばれるものにより
3年ごとに1年13ヶ月の約384日として補正しています。
閏年、閏月には長期的なずれを減らす為に、
さらに細かい規則もありますがここでは省いております)
このことでも1年というものの正確性の差は明白となっています。

さらに、新暦では365日を基準に
1日24時間、1時間60分、1分60秒という
緻密かつ正確に時を刻むことができるようになりました。
しかし、旧暦では1分1秒等の細かい時間等は
一切分かりませんでした。
ならばどうしていたのか、文化や地域によって違いはありますけど
日の出と日没を1日の始まり終わりの目安としており
教会や寺の鐘を時計代わりに鳴らして時間を知っていたそうです。





このように、太陽と月を目安とした
2種類の暦により人類は時を刻んできました。
現代では旧暦のように時を刻んでいては
生活や仕事での予定や日程を組む上で不便な点が多々あります。
しかし、旧暦というものは
目に見えるものを日々の目安としてきたことにより、
多くの季節の言葉というのを残しました。
それが1年での日々の変化を彩り、楽しむものとなっている
というお話しでした。